夏服を着て、地球を飛び出した
もしおれの分身が目の前にいたら、俺はそいつをボコボコにしてやりたいが、その分身だって紛れもなくおれなわけだから、俺はすごくかなしいよ。
今日は公園で大切な友達らとエルレガーデンについておしゃべりをしました。
普段同じ縄張りに住む強い人たちに、マウントポジションを取られがちな僕らは、そんなことも一切合切忘れて楽しくエルレガーデンについておしゃべりをしました。
僕らはエルレガーデンを知っているんだぞ!えっへん!
滑り台の一番上に登って、拡声器でそう叫んだら、僕ら以外のみんなはキモいと言ってきました。
それでも僕らが死なないのは、僕らはエルレガーデンを知っているのだから仕方ないよねと思うからです。
ヤンキーにみんながなぜかぶん殴られてお金を取られたので、みんなは泣きながら家に帰りました。
明日学校に行ったらエルレガーデンのボーカルの人が、意外と年食ってるって知識をみんなに教えてあげようと思ったから、僕は布団の中でウキウキしていました。
今日はとても楽しかった。
明日学校に行ったら、強い人がエルレガーデンについて、僕の大切な友達らと楽しそうにおしゃべりをしていました。
まてまて、それは僕のだぞ。
僕らのエルレガーデンをとらないでよ。
僕の友達をとらないでよ。
君にはそれが必要ないじゃないか。
君はエルレガーデンは僕のものじゃなくみんなのものだという。
君は僕の友達らも僕のものじゃなくみんなのものだという。
そうなんだ、僕だけのものじゃないなら、エルレガーデンなんていらないや、友達もいらないや。
その代わりに、お前にマウントを取られて、悔し涙を流し続けたクソッタレた日々をどうにかしておくれよ。
僕を人だと思わないで、マウントを取りまくる生活と、エルレガーデンについて友達と楽しくおしゃべりする生活、君は両方もってるなんてずるいじゃないか。
強い人に屈服して、それでもへらへら生きていたのに、へらへらすることも許されないなんて、僕はすごい惨めじゃないか。
ねぇ、お金も、名誉も、何もかもいらないから、元に戻してよ!こわれたぼくを!
ところで、間違ってばかりのおれの分身が目の前にいるもんだから、ボコボコにしてやろうと思ったのに、たまらず俺は分身をそっと抱きしめてキスをした。
そろそろ警察につかまる時間がやってくるのだと思ったけど、その直後、戦争がおきて、全員この世からくたばったので、僕だけが嫌な思いをすることはなかった。
ありがとう。ありがとう。