店長、業務連絡です
とりあえず今は生きている、誰も彼も。
最近巷では、言葉も、情報も、愛も、嫌悪も、出来合いの弁当のおかずも、あまりにも過多。
それゆえに、人の存在理由ってのは多義的になっているというか、オルタナティヴになっているというか。
もう面倒で息苦しくて仕方ない。
助けてくれよと心から思うが、多分無理でしょう。
僕は末期の大腸ガンです。
肛門を失い、その代わりに腹にくくりつけられた袋には、我が愛おしいうんこが、パンパンに詰まってる。
だから黙々と射精するのだ。
その時、気持ち良さと気だるさがちょうど半分ずつ、僕の体を支配する。
ケーキを半分こしようとしても多少の誤差が生じてしまうように、アホってのは、この世に"ちょうど半分"ってものが存在しないと信じている。
しかしだ、ここ数日僕が射精した時に抱く、気持ち良さと気だるさは数字の上でも"ちょうど半分"だ。
それが誇らしくもあって恥ずかしくもある。
これは半分ではなく誇らしい2、恥ずかしい8だ。
なんと多義的というか、オルタナティヴというか。
それがたまらなくしんどいなぁと思う。
ところで君は、もし人が、ほとんどの言葉を失い、「愛してる」としか話せなくなったら、どれだけ世界は素晴らしいものになるだろうかと考えたことはあるか?
もし今からそんな世界になったら、僕が嫌いなボケナスどもに気安く「愛してる」と言われた瞬間、僕は黙ってそいつの顎を思いっきりぶん殴るだろう。
嫌いな奴を殴り散らかした後に飲むビールはきっと、とびっきり美味いに違いない。
捕まろうが構わない。
警察官も世間も僕に「愛してる」としか言ってこないのだから。
だから世界って素晴らしい。
あぁしんどい、限界かもしれない。
言葉は止まない雨のように紙コップに注がれ、こぼれ落ち、海へ流れてゆき、世界の向こう側までたどり着く。
僕の心にある悲しさは水たまりとなり、喜びは波のようになって、僕を包み込み、抱きしめる。
神に勝利あれ。
何にも僕の世界を変えさせたりはしない。
何にも僕の世界を変えさせたりはしない。
あぁ、全然違う、違う。
しんどい、辛い、面倒臭い。
あんたが自ら死を選んでからも、僕が道を踏み外してからも、相変わらず世界はゴミだ。
もし、あんたが生きてても、僕が真っ当な暮らしをしてても、世界はゴミだと思う。
僕は渋谷のスクランブル交差点で、すっぽんぽんになって、みんなに「お前はゴミだ」と罵られたい。
その時僕は言ってやるんだ、「愛してる」って。
そうやって僕は死にたい。
神に勝利あれ。
何にも僕の世界を変えさせたりはしない。
何にも僕の世界を変えさせたりはしない。